すごい周りからの視線だったけどもう自分の中はパニックだった。

皐月も固まるようにこっちを見てる。


「麗、やり直そう。今度はうまくやれる。」


「・・っ。なんでなん?わたしやなくてええやろ?雄輔の周り・・女の子いっぱいおるし・・それに・・」


「麗やないとあかんねん。」


わたしの目からは大粒の涙が何粒もこぼれてた。

雄輔に呼ばれた。

久しぶりに”麗”って。

そして初めて本気でぶつかってきてくれた気がするのが嬉しくて。

別れてるのに本気で愛しい。

やっぱりわたしは雄輔が好きなんだ・・・。

離れてたのに・・・雄輔のこの言葉で一気に思いは加速して戻っちゃったよ。


「雄輔・・・ほんま勝手やわ・・。」


「そやな。」


「ありえんくらい自己中やわ・・。」


「そやな。」


涙でうまく喋れないけど・・雄輔の優しい声が聞こえて・・久しぶりにわたしにだけ話しかけてくれてる声が聞こえてさらに涙の量は増えてしまった。


そのとき後ろから抱きしめてた雄輔がいなくなったのがわかった。

手も首元から消えて背中らへんにあたっとった体温もない。

後ろを見ると修が雄輔を引っ張ってわたしから引き離しとった。

そしてわたしが泣いとるのを見ると声を張り上げた。


「何泣かしとるん?別れたあともひつこいんちゃうんか??」


あまりに目立ってたのもあるし、哲哉くんと皐月が修をなだめてわたしたちはその階にあった誰もいない科学室に移動した。


シーンとした部屋、独特の香りがさらに緊張感を高めた。

修にちゃんと言わなきゃいけないのはわたしだから。

でも修は雄輔を責め続けてた。