「……」
私が気にしてないって言えば済む話なのに。大丈夫って言えば済む話なのに。リュウくんは事実を言っただけなのに。
《レイ、泣いてるの?》
「…泣いて…ない」
溢れてくる涙は止まらなくて。
《レイ!本当にごめん!お前は悪くないんだよぉ…俺が勝手に怒っただけだから!》
「…っ…うん…」
電話の向こうでリュウくんは私が泣き出したことに驚き、焦っていて。
タツキさんも言っていた。
リュウくんは“私の為に”心配して怒ってくれているんだ。
それに対して私は怒るべきではないのに。むしろ、ありがたく思うべきなのに。
泣いてしまう私は嫌な女だ。
《あー、もう!》
(怒ってる…)
《――俺、今から行くから!》
「…え?でも、終電。時間も。大丈夫だよ」
《車使うから!待ってろよ!》