「俺……」
直哉が俯いたまま、話し始める。
「……えっと…昨日はごめん……。」
「……沙希が…見たことは……ほんとなの?」
「…それは、ほんとだけど」
「……」
あたしはキュッと自分のブレザーの裾を握った。
冷静になれ、あたし。
今日はちゃんと本当の事聞くんだから。
直哉が顔を上げ、あたしを見る。
「…でも、別にその一緒にいた奴はただの友達だし………まじで俺には里衣だけだから……」
直哉があたしの手をギュッと握る。
「信じられねぇかもしんないけど……信じて欲しい………。」
友達。友達……。
「……ほん…と?」
「信じられない?」
悲しそうな直哉の表情。
直哉が言った事全部、もしかしたら嘘かもしれない。
後でもっともっと傷付くかもしれない。
でも……
好きだから………
「……あ…たし、信じる………。」
あたしは直哉を信じるよ…。
「サンキュ………」
直哉はそう言うと、立ち上がり、あたしを抱きしめた。
そしてあたしの髪を撫でる。
「…次、もしまたこんな事があったら、もう直哉の事一生信じないからね…。」
あたしは直哉を見上げ、軽く睨む。
「…分かってる。不安にさせて、ごめんな。」
あたし達はキスを交わした。
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