「少し張れてるかもな。
全く…こんな大事なことなんで早く言わないんだ。」





秋庭さんに解放されたのは隅々まで私の顔の確認が済んだ後だった。





「大事って…わざわざ言うことでもないですし、それに…
そんな事忘れてました…」






「そんなことって…」





ばつが悪そうに笑う私に、秋庭さんは少し呆れてどこか怒ったように言った。




「放っといて酷くなったらどうするんだ!」





なんで、そんなに言われなきゃならないんだろ…だって、しょうがないじゃない…





「そんな…責めなくたって…
だって…忘れちゃったものは仕方ないじゃないですか…」






自分ではもうそれが何でもないという風に話してのに、自ずと声は呟くように小さくて視線も自然と下がってしまう…