僕は小さな一輪挿し。


大好きな彼女のお店に置かれた一輪挿し。

枯れた花を彼女は捨て去り、その日から潤いは乾いてしまった。

花のない乾いた一輪挿しを、乾いて役目を見失った一輪挿しを、寂しそうな瞳で見つめる人達は僕にはない心に何を重ねるんだろうな。



僕の大好きな彼女。

いつも楽しそうに珈琲のいい香りを漂わせて、毎日僕に花を生けて水を満たしてくれた彼女。

彼女もやっぱり僕を見るのさ。

毎日僕を見て、深い溜息と少しの涙を零すのさ。