その前はカップルさ。 それが僕の前で大喧嘩。 恥ずかしげもなく大きな声でね。 話す意味は良くはわからないんだけどね、途中で彼女は席を立って出て行ってしまった。 残った彼は眉の間にうんと深い皺を作ったまま、やっぱりじっと僕を見ていたよ。 時々携帯を手に取ったり、置いてはまた僕を見て……入口を見て。幾度か繰り返し繰り返し。 長い間そうして、ゆっくり立ち上がったのさ。