「"じゃんけん"て、グーはチョキに勝てるけど、パーには負けちゃうでしょ。
だけどパーはチョキに負けちゃう。
変だと思わない?」

私は驚いた。

こんな質問されたの初めてだし、そのような視点を持っている人と出会ったのも初めてだったからだ。

野田はお構いなしに普通のように続ける。

「私、障害あるでしょ?私がグーだとしたら、パーにはかなわない。
これは仕方ない事だけどチョキには勝てる。
勝てると言うか、私にも誰か人の為に出来る事があると思うの。
だから私、
"じゃんけん"
て名前にしたの。
可愛いでしょ?」

私は"じゃんけん"の頭を撫でながらうなずいた。

お日様は沈みかけている。