「…そんな事より、ゆーぅた…」

梨香が細い小さな手で私の右手の"指先"を掴んできた…

こ、これは

"いつものパターン"

ではない…!?

梨香が続ける。

「今日、家、誰もいないんだ…
よかったら、家来ない…?」

へ!?

「ご、ごめん、き、今日用事あるんだ!」

何を言い出すんだ、コイツは!

梨香が大きなお目目で私を下から睨みつける。

「用事って何よ!」

「えーと…あの…その…」

梨香のほっぺが

"プクッ"

となった。

「もういい!バカ優太!」

「痛!」

梨香の奴が、思い切り私の足を踏みつけた!

梨香が足早に五歩程進んで、私に振り向き、

「アッカンベー!
弱虫優太!」

梨香が走って家に帰った。

何だってんだ、梨香の奴…

梨香と別れ、家に着いた。

母は今日もパートの残業でいない。

部屋に入り、椅子に座る。

なんだか入学式から今まで、"変"な時間だった。

色んな事を考えてさせられた。

これが"大人"になるってやつか…

ガラじゃねー…