俺たちは全員、声の方向に目を向ける。


・・・ヒゲ先生だった。


「お前たちの話はすべて聞いた。勝負の方法は、俺に決めさせてくれ」


「構いませんよ」


俺は承諾した。


ヒゲ先生には、何を言っても無駄だ。


美雪が何か言いたそうだったが、翔平がそれを止めた。


話をややこしくしたくない、という思いは同じらしい。


「稲村たちは」


「いいですよ」


裕二たちも、二つ返事で了承する。


「で、何をするんですか?」


「片岡と山本を除いた3人で、バスケの試合をする」


「3on3ってことですか」


「ああ」


「ちょっと、それ、こっちが完璧不利じゃない!」


美雪が抗議の声をあげる。


相手はバスケをやっている3人だ。


美雪や翔平も、スポーツをやっていて運動神経もいいが、本業の奴らには簡単に勝てないだろう。


「抗議は聞かない。試合はあさっての土曜の放課後、体育館のバスケゴール前で。いいな」


「・・・分かりました」


「はい」


俺と裕二が了承する。


この人が出てきたら、もう止まらない。


「よし。じゃあ、楽しみにしている。ではな」


そう言って、ヒゲ先生は校舎へと消えた。