病室は六人部屋。私は一番おくの窓際。
窓から外を眺める。
すでに空には月が昇っている。
『お姉ちゃん』
後ろから高くて小さな声がした。
振り向くと幼稚園児くらいの女の子が車イスに乗っていた。
『お姉ちゃんも病気なの?』
女の子は私に聞いてくる。『うん、病気なの』
私は苦笑いをして答える。『沙依もね、病気なの』
こんな小さな子も病気だなんて…
私も頑張らないとだめだ。『沙依はね、心臓病なの』
私と同じ病気だ。
私は女の子の頭を優しくなでた。