「確かに普通じゃ有り得ないかもね」

「・・・」

「でもほら、里美は普通じゃないし」

「?」

「フフ。変な意味じゃないよ」

直子はオレンジジュースのボトルにストローをさすと、氷をかき混ぜながら

「里美さぁ、朝倉先輩のこと覚えてるでしょ」と言った。

朝倉悠。
私に告白した先輩。
高校一年の夏のことだ。

「あの時、クラスの誰もが里美はOKすると思ってた。
だって朝倉さん、あの頃からモデルの仕事するぐらいイケメンだったし」


「それを断るなんてあの子どうかしてる。って、
そのあと散々言われたね。フフフ」

「里美が、顔だけで男を選ばないという証明にもなった一件だよ」

「典型的な遊び人タイプだからね。朝倉さんは」