「里美、何か良いことあったでしょ」


「・・・わかる?」


「顔に書いてあるもん」


私は両手で顔を拭く真似をした。


「もしかして恋?」

直子は親指と人差し指をピンと伸ばし指鉄砲を撃つような格好で、そう聞いた。

「うん」

「へぇ~。
で、相手はどんな人?」

「朝、電車で会う人」

「ほぉ~」

「やっぱり変かな?」

「なんで?」

「だって、どこの誰かも知らない人だし、普通じゃ有り得ないことかなぁって」