――翌朝



目を開けると

窓から日が射して

部屋はすっかり明るく

なっていた。



俺はふと、

隣にあるはずのぬくもりが

無いことに気づく。


隣に寝ていたはずの

花梨がいない。


先に起きたのかな、と思い

重い身体を起こして

リビングへと向かう。




ドアを開けると、

寝室よりも強く日が射して

明るく照らされたリビング。


花梨からもらった

ネックレスが

日射しを受けて輝いている。


開け放たれた窓と

風に踊るカーテンが

目に入る。




カーテンとカーテンの間には

世界一愛しい人の

シルエット。




ベランダで朝日に照らされる

花梨の横顔は


本当に綺麗で。

本当に愛しくて。







…でもそのとてつもない

愛しさが俺を苦しめる。



ほんとはずっと

花梨を守り続けたいし

ずっと抱き締めていたい。




…意味不明?

…守りたいなら守り抜け?



そんなことができたなら

どんなに心の荷が

軽くなることか。



俺が隣にいる時間が

長くなれば長くなるほど

花梨は苦しむことになる。



花梨をこれ以上

苦しめないために

出来るだけ早く花梨の前から

去るべきだということぐらい

分かってる。




でも今の俺は大切な人を

守るために、

それを失う悲しみに

耐えられるほど強くない。




俺の感情に答えをくれる人が

いるなら…こう問いたい。




"愛した女を
この手で守りたいと
願ってしまった、俺が
馬鹿だったのでしょうか?"




         *・。・゚*・。