「祐斗、
本当に…ありがとう。
…愛してる。」
…この言葉が空気を
揺らした瞬間、
一筋の涙が
花梨の頬を濡らした。
相変わらず綺麗な
涙だった。
でも…
初めて花梨を抱いた時に
俺に見せた
あの涙とは違った。
悲しみに追われて
流す涙ではなく
強さと優しさ故に流す、
幸せな涙。
あの時の涙は触れただけで
壊れてしまいそうだったけど…
今の涙は違った。
そのたった一雫が
今までの花梨と
今の花梨の違いを
物語っているようだった。
まるで小さなダイヤのような
その涙に俺は
キスを落とした。
…そう、あの日と
同じように…
「俺が絶対に守り抜く。
もう泣かせねぇ。」
その気持ちを込めて。
……―
久しぶりに素直な涙を
流せた気がする。
祐斗のまえだからかな?
過去を忘れようと努力した
昨日までのあたしは
もういない。
そこにいるのは
過去を受け止めようと
するあたし。
もう怖くないよ。
だって…
今のあたしには祐斗が
いるから。
その祐斗があたしに
キスを落とす。
今までに経験したことの
ないような
甘い、甘い優しいキス。
言葉なんて無くても
祐斗の愛がひしひしと
伝わってくる。
「ねぇ…いい??」
「…うん//」
祐斗はまるで
ガラスでも扱うかのように
優しく…
あたしを抱いた。
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