…それからというもの…
あの仲睦まじかった
パパとママがケンカばかり
するようになった。
…原因はあたし。
"お前がちゃんと面倒を
見ないから花梨が
妊娠なんてしたんだ"
こう怒鳴るパパの姿は
今でも時々夢に出てくる。
大好きなパパとママが
言い合う姿を見るたび、
自分の心が死んでいくような
そんな感覚を覚えた。
…人はよく出来てる。
耐えきれないほどの
痛みにぶち当たると
勝手に心が麻痺して
何も感じなくなる。
まるであの時、
思考を停止させた
あたしの脳のように…。
あたしの心は"愛"を
失う代わりに"痛み"を
感じなくなったんだ。
そして2ヶ月後、
両親が離婚した。
もう出る涙も無かった。
そしてあたしは
気づいたんだ。
"愛"の代償は"悲しみ"。
そして…愛に永遠など
あり得ないことに。
愛すれば愛するほど、
その想いが大きければ
大きいほど…
失う悲しみも大きい。
なら…愛さなきゃいい。
誰も愛さなきゃ、
傷つくこともない。
こう気づいた時…
あたしはもう"本気の恋"は
しないと決めたんだ。
いや、"できなくなった"、
その表現の方がふさわしい
のかもしれない。
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