――花梨が時折見せる

悲しそうな表情は

何かを耐えているような

表情だった。



それが何か俺には

わからないけど…

とにかく花梨を

その苦しみから守りたい、

俺はこの時

そう思ったんだ。






――


「…とりあえず
…俺ん家来るか??」

「…うん。」



そのまま帰れる状態でも

無かったあたしは頷き、

2人で井上の家に向かった。





井上の家に着くと

高そうな家具ばかりが

目に入る。





「…とりあえずそこ座れよ。」


「…うん。ありがと。」






しばらく何とも言えない

沈黙が続く。






…その沈黙を先に破ったのは

井上だった。





「何があったんだよ…??
みんな心配してっぞ??」


「…言いたくない。」


「そっか…じゃ」




「……ねぇ、
抱いてよ。」


あたしの言葉が

井上の言葉を遮る。





「は…!?
おまっ…なに言ってんの??」



「いいから抱いてよ…!
もう全部ぜんぶ、
忘れさせてよ…!!」





「…優しくできねぇかも。」





井上はあたしの返事を

待たずに、

あたしにキスの雨を

降らせた。




「…ンッ…いの…うえッ…」


「…祐斗って呼べよ…」


「…ンッ…ゆうッと…ッ」




――祐斗のキスは

とても熱くて、

優しくて…


それはただの"快感"

じゃなくて…


今思えばそれは貴方からの

"愛"だったのかな…?



でも…どうしてだろう??


祐斗が他の女の子にも

こんなことをしていると

思うと…胸が痛い。


         *゚・.*゚・.