次の日。

僕は楽しみすぎて、いつもよりずっと早く起きた。

リビングにはもうコーヒーを飲んでいる政也さんがいた。

「ん?あぁ淳くんおはよう。今日はずいぶんと早いね」

政也さんは清潔感のある笑顔を僕に向けた。

正直この笑顔は僕も憧れるほどすばらしいもので、母さんが選んだのもわかる気がする。

「ちょっと用事があって…」

「そうかい。美央さ…いや、お母さんはまだ起きていないから僕が作ったものでよければ食べていくかい?」

「ありがとうございます」

「敬語なんて使わなくていいんだよ。コーヒーは?」

政也さんが僕の椅子を差して、座ったら?と言うような仕草をした。

「いえ、大丈夫です。」

キッチンで料理を作りだした政也さんは、ハハッと笑った。

少し困ったように…

「はいどうぞ。」

目の前には焼きたてのトーストと卵焼きとベーコンがおかれていた。

「お弁当はどうするんだい?」

「向こうで買います。」

「そうか…。送っていこうか?」

「歩いていきますから」

僕の態度に政也さんは少し悲しそうな顔をした。

「そうか。じゃあ僕はもう一眠りしようかな?」

そう言って政也さんは、僕とおいしくできた朝食を残してリビングから出ていった。