白山鈴祢…

僕のノートの端に刻まれたいくつもの同じ名前。

きれいに折り畳まれてポケットにしまわれた紙飛行機。

机にしまわれた鈴祢が興味を示した本。

耳に残っているのは、あの優しい鈴の音。

頭の中は鈴祢の笑顔でいっぱい。

僕のすべては今。

鈴祢に向けられていた。

彼女はどこのクラスなんだろ?

彼女は今何を考えているんだろう?

君には…誰か想う人がいますか?

「森山ー!この問題解いてみろ!」

先生に言われてはっとする。

僕はまったく授業を聞いていなかった。

「わかりません…」

「ちゃんと話を聞いていろよ?」

「はい…」

僕は窓の外を見る。

僕の窓際の席は、僕のお気に入りの場所が見える。

僕はお気に入りの場所を見下ろした。

そこには鈴祢がいた。

スケッチブックとたくさんの絵の具を抱えて、辺りをキョロキョロと見回している。

きっと絵を描くポイントでも探しているんだろう。

僕はノートを一ページやぶりとって、鈴祢がやったようにメッセージを書いた紙飛行機を作った。