鈴祢はあの笑顔のまま、また涙を流す。

「ちゃんと言えてよかった。」

僕はもう一度鈴祢を抱き締めた。

今度はゆっくり優しく。

鈴祢も僕の背中に手を回した。

冷たい霊気が背中に当たる。

「また会えるよな?」

「森山くんが忘れなければきっと…」

僕の腕の中で消えゆく鈴祢に僕はつぶやいた。

「それなら絶対に見つけるから」

「わかった。待ってる…」

鈴祢はクスクスと笑った。

鈴祢が消える瞬間強い風が吹いた。

桜は吹雪のように散った。

僕はぼぉっと空を見上げる。

コツンッ

「いてっ!?」

チリリンッ

頭に何かが落ちてきた。

僕の足元にゴムが落ちてる。

僕は微笑んでゴムを手首にはめた。

鈴に優しくくちづけをする。

冷たい。

僕のファーストキスは冷たい鉄の味。

それは僕の愛する人の大切なものの味。