鈴祢がいなくなって、二日たった。

僕の前には今、大きな海が広がっている。

ここに鈴祢はいるんだ。

僕は何の躊躇もなく、海へ飛び込んだ。

ジャボンッッ

僕は冷たくしょっぱい水の中。

ゆっくりゆっくり沈んでいく。

今行くよ。

僕もそっちに行くよ。

鈴祢…

チリン
チリリン

やっぱりそこにいるんだね?

待ってて鈴祢。

君のいるこの場所に僕もいさせて…
あの時みたいに…

チリン…
チリリン…

遠ざかっていく鈴の音。

待って…

待って……

僕をおいていかないで

僕は鈴の音を追い掛ける。

でも鈴の音はどんどん遠ざかる。

僕はもがいた。
必死で泳いで鈴の音を追う。

チリ…ン
チリリ……

鈴の音が消えた。

僕の中には絶望が生まれた。

手足を動かす体力も気力も失って、僕の意識は薄れて消えていった。

鈴祢。もう一度君に会いたかったよ…



僕は夢を見た。

僕は船の上にいる。

一人の女の子が船頭の近くにちょこんと座って、絵を描いている。

空は曇り模様。海は荒れ模様。

時々跳ねて当たる塩水に顔を歪ませながら女の子は、桜の木の下に一冊の本を持っている男の子と女の子の絵を描いていた。