「ウチはハルの彼女でーす!
ていうかさ、あんた、好きな人に彼女がいるかも知らないなんて、馬っ鹿じゃない?」
うわ。最悪。
彼女の言葉を脳が認識した瞬間、顔に熱が集まり、鼻の奥がつーんとした。
鼓動がばくばくと高鳴り、ちょっと、いや、かなり泣きそう。
俯いた私の視界に、彼女の影がちらついた。
「うわ、泣いてんの?
あははは!まじだっせー!ちょー笑えるんですけど!」
あははは。ほんとー。ちょーわらえるんですけどー。
心の中で呟いてみたけど、(しかも棒読み)私の顔は笑顔にはならなかった。当たり前か。
「ま、これで分かったんならさー、
今後一切ハルに近寄んなよ? ブス」
一瞬だけ目が合った、と思ったら、視界がぐるっと回って、次の瞬間には地面にたたき付けられていた。
どうやら私は、彼女に突き飛ばされたらしい。どこまで間抜けなんだろう、今日の自分。
荒々しく閉められたドアの音が聞こえた瞬間、頬を伝って地面に涙が染みていった。
失恋した悲しさ故というよりは、自分の惨めさに泣けた。
彼女がいたなんて、そんな話知らない聞いてない。