「…ちょ、な、なんで学校きてるの!?」
「千秋さまが心配でしたので」
「いやいやいや!」
「ご心配には及びません。
私の姿は他の方達には見えておりませんので」
そう言いながらふっ、と微笑む。
あ…、そうなんだ…。
ならいいや。
……いや、良くないっ
あたしが変な人みたいじゃんっ
とりあえず、周りに人の気配はなかったので、あたし達は平然と学校を出た。
外からは、ミンミン…と蝉達の大合唱が響く。
その中を、家へ向かって歩いていた時。
あたしの向かい側から見馴れた人が駆けてきた。
「…あれ…って…、もしかして…」
と、あたしの予感は的中。
その人物は、あたしの親友飛鳥の彼氏
―――高尾宏樹だった。