「俺、しばらく修業してて、学校行けなかったんだ。

でも、ちゃんと卒業はしたよ」



あ、なるほど。


って、そんなことが…。




「あれ、黒瀬…?」


「…ほんとにもう…!」




俯くあたしの名前を呼んだ木村くんに、次の瞬間にあたしは思いきり顔をあげて、叫んだ。





「早く言ってよ!」


「いや、だって黒瀬…
脱け殻状態だったからさ」


「…それは否定できないけど…、

だけど、みんなあたしの前から
いなくなったかと思って…」




そう答えると、木村くんは「そっか」と言って。



「悪かった。
本当は、言うつもりだったんだ」



と、頭を下げた。






「木村くん」




そんな彼の名前を呼んで、スッ、と頭をあげた彼に。





「───ありがとう」




言いたくて仕方なかった言葉を、やっと、彼に贈ることができた。