そこには、たぶん本物(だと思う)の木村くんがいて。



「あら、きむきむ」


「……その呼び名、
いい加減やめてくれません?」




……あれ?






「きむきむは買い物?」


「だから…、もういいです。
そろそろ猫鈴が帰ってくるので準備を、と…」


「そうなの!
じゃあ、私達も準備手伝うわよ!」





………えーと……?





「あ、そうだ。
千秋ちゃんも一緒にどう?」





………。




「千秋ちゃん?」


「…えっと…、木村くん…?」


「…ん? うん」


「なんでここに…?」


「なんでって言われても…
俺、一応神社の跡継いだし」


「え、だって…
ずっと姿見なかったし…てっきり…」




追い付かない頭を回転させながらそう言うと。




ああ、と木村くんは笑った。