あたしはすぐさまその封を切って、中身を取り出す。



そこには、小さい頃見てきたおじいちゃんの、温かい字で書かれた、手紙だった。




その内容は。








――――千秋へ。


この手紙を読んでいる時。



お前は一つの大きな壁を

越えようとしている時だろう。



無事、わが親愛なる狐燈の

主となったことを、祝福しよう。

狐燈は、お前とよく似ているよ。




私は、後悔をしない

人生を歩んできたが。




千秋。

お前だけを、助けられなかったことが

ただ一つ、消えない後悔だ。



助けられなかった私を、許してくれ。




最後に、狐燈のことを

一つ教えてやろう。


役立ててくれ。



あいつは、消えやしないよ。

恐らく、暴走することもないだろう。



消えるのは、やつの中に眠る

もう一つの魂だ。



千秋なら、この言葉の意味が

わかるはずだと、私は信じているよ。



私の愛する孫よ。


どうか、私の願いを叶えてほしい。



私は、雅と千秋。

お前たち、二人が大好きだったよ。










―――――――東条 春樹