「久しぶりだな、人間」
「そうですね、鬼太郎さん」
「おい、誰が鬼太郎だ」
「いや、鬼なので、てっきり…。」
そうなのかと。
なんて呟いた瞬間には、もう鬼野郎の姿はあたしのすぐ隣にいて。
「とっておきの情報をくれてやる」
ふわり、とあたしの耳元で囁いた。
微かな華香が鼻を擽る。
「───あいつのことを知りたきゃ、
東条春樹に聞きに行け」
………。
「はい?」
「聞こえなかったか?
あのクソ狐がどこへ行ったか
どうなったのか、
すべてを知りたきゃ、
東条春樹に聞きに行け」
いや、バッチリ聞こえてますが。
「だって、おじいちゃんはもう…」
「いないってか?
本当にそう思うのか?
─―─もしそうだったら、その血を受け継いでいるにも関わらず、お前はとんだ愚か者だな」
…そこまで言わなくても…。