それから、また振られないようにトイレに行く、と言い残して逃げた。
ペタペタ、と行くあてもなく長い廊下を歩く。
消灯時間まで、まだあるためか、周りの部屋からは、いろんな声が
聞こえてきていた。
「―――黒瀬さん」
そんな時。
聞いたことのない声が後ろから聞こえてきて、あたしは反射的に振り向いた。
「……え?」
そこには、一人の男子が立っていて。
でも、あたしはそれが誰だか、よくわからない。
たぶん、別のクラスの人だな、と、瞬時に思う。
「……なに?」
「あのさ、…。
良ければ、俺と付き合ってくんないかな?」
……………は?