記憶の波に、溺れていく。







『――…燈…、…孤燈。』





もう、ダメかも。とそう思った時、透き通る、綺麗な声で我に返った。





ハッ、として瞳を開けてそこへ、視線を向けると。





まだ、小さな小さな孤燈と綺麗な、若い女の人が寄り添っていた。






………?





息苦しさに必死に耐えながら、そこを、見据える。






『……いい?
妖狐は、悪と言われているけど…
それは皆、自我を忘れてしまうからなのよ。


…貴方だけは絶対に…、
自我を忘れちゃ駄目よ。





───そうすれば。



貴方をわかってくれる人が、
味方になってくれる人が…

必ず、現れるはずだから……』








瞬間、じゃばん、とその光景が溢れてきた波によって、かき消される。