あれよあれよ、とよくわからない内にあたしは見事に流されて行き、壁に追い込まれてしまった。
なんだろう、…この状況は…。
すぐ目の前には、誰が見ても見とれてしまうほどの美貌を持つ主。
まだ夢心地の取れない脳内は、この状況で、さらに甘ったるくなる。
「…狐燈…?」
「ずっと、考えておりました…。
貴方は誰よりも、強く、
勇ましく…負けず嫌いで…」
これ……
あたし、誉められてるの?
それとも貶されてるの?
「…そこを、ずっと…
あるお方と重ねていたのです」
…………あるお方…?
何を言っているのか、ちんぷんかんぷんなあたしはただ、小首を傾ける。
「…しかし、貴方は他の誰でもない貴方で…
重ねることなど、出来るはずがありませんでした」