風が相変わらずあたしを包み込む中…
ギュッ、と瞑っていた瞳をゆっくり、開いてみると。
すぐ近くに、狐燈の顔があった。
「……お怪我はございませんか?」
「…あるに、決まってるでしょ」
そう返すと、狐燈は小さく笑う。
「貴方には、謝らなければなりません。
…逃げていたのは、私の方です」
「………?」
「実を言うと、春樹さまは…
私の所為で亡くなったのです」
そして、彼は静かに、絞り出すように言葉を紡ぐ。
「全ては、私が御守り出来なかった所為。
私は、二人の大切な方を…
自らこの手で、無くしてしまった…」
ですから、とさらに彼は続ける。