「…その根拠は?」
「…言っても…
貴方には、わからないと思います」
…そう。
だって、それは…
あたしにもわからないから。
「………ふざけるな…」
しかし、どうやら完全に弟くんの勘に障ったらしい。
凄まじい風が、この場を包み込む。
いや、違う。
あたしだけを包み込んだのだ。
「──千秋さま…っ!」
確信なんて、そんなもの…
あるわけがない。
あたしだって、人間だ。
記憶が消えない、なんてそんなこと、
堂々と保証できるわけがない。
それでもあたしは……
狐燈といた時間を…忘れたくない。
おじいちゃんみたいになれなくてもいい
いくら否定されてもいい…
今度こそは……逃げたくない。