こうもはっきり言われてしまったら

あたしは、何も返せない。





それを、待っていたかのように、弟くんは、フッ、と笑った。





「心配することはない。
貴方の記憶を消してしまえばすべて済む話なんだから」





それを、一言で伝えるなら

……巧みだ。






そこは、素直にすごいと思う。






…でもね。






「……あんたに…、あたしの記憶を消せるわけがない」




そう言った瞬間の弟くんの表情といったら……





まるであたしをバカにしているとしか思えない。





なに言ってんの?と、瞳を見ただけでそう言っていることがわかる。







…まったく、人間をどれだけ下に見ているんだか……。