もはや、言い返すのもめんどくさい。






「―――來孤…」







そんなあたしが黙ったことで静寂に包まれたこの場所に、低い声が風に乗って響き渡る。





あたしはなんとなくもう慣れたけど…


目の前の弟くんは大きく肩を揺らし、ハッ、とその方向へ視線を向けた。






「…これ以上、その方への侮辱は許さない」







なんだか、雲行きが怪しくなってきた。








「…御前の目的は、私なのでしょう?
それなら、彼女は関係ない」


「関係ないとは言えないさ。
現に、大きく関わろうとしている」





そう、またもや狐燈を一蹴すると再びあたしの方を向く。







「例え契約を交わしても貴方は、お祖父さんのようにはなれないよ」






その言葉は、謂わば、最後のとどめのようにあたしの胸を大きく刺した。