それから、今度はあたしが言葉を続けた。
「…やっと分かったわ」
「……は?」
「あんたは、真面目すぎて何もわかってない」
あたしの突然の言葉に、弟くんは唖然とする。
「じゃあ、なに?
それ相応のことが、それだけ大事なの?」
その表情にあたしは構わず、弟くんに向かって捲し立てる。
しかし。
「…人間には、わかるまいさ。
実母を殺生しておいて、平然と生きていることがどんなに酷か…」
簡単に翻してくる。
そして、そう返してきた弟くんの瞳はひどく冷たく、今にも凍り付いてしまいそう。
そんな瞳に、あたしはゾッ、とする。
言うなればそれは、あの時感じたような蛇に睨まれるカエルのように、あたしの体は動けなくなった。