唸り声とともにあたしは顔を上げた。





視線の先には、光りに包まれあの恐ろしい姿の妖狐はすでにいない。





しかし、女の人はその場に倒れ、それを、誰かが見下ろしている。








「──赦さない。
私は、決して御前を赦さない…。

………──」








確かに、そう言ったのが聞こえたが、その先に続く言葉は聞き取れなかった。






…………。







見ると、今まで見下ろしていた人は崩れ落ち、なにかが、ポロポロと落ちていた。







それを、言葉を無くして見ていた瞬間。









『―――時間です』









鈴のような声とともに、あたしの身体はふわりと消えた。