───確信した。
あれは、きっと……
…昔の狐燈だ。
目の前の妖狐は家々を焼き付くし、人々は逃げ惑う。
……これ以上、見ていられなかった。
あたしの中から、嗚咽が込み上げてきたその時。
「───狐燈……っ!」
響いてきたそれは、誰が聴いても思わず振り返ってしまうほどの、美しい声だった。
あたしもついそこに視線を向ける。
声だけじゃなく、姿までもが美しい妖艶な、一人の女性だった。
地面までつきそうなくらいの漆黒の長い髪に、紅と牡丹が使われた着物を纏っている。
しかし、その女の人の声は妖狐に聞こえるはずもなく……
逆に、その人目掛けて、襲いかかってきた。