ハァー…、と大きくため息をついた時。




「黒瀬」




最近聞き覚えた声が、上から降ってきた。






「………?」





そっ、と上を仰ぐと、やっぱり…

木村くんが立っていた。






「少しいいか?」





木村くんはそう言って、廊下の方を指差す。




あたしはなんとなくわかったけど飛鳥の方は、すごくびっくりしていた。




そして、「なに、なに!?」という感じの視線をあたしに突き刺してくる。








「ごめん、飛鳥。
次の授業、適当に誤魔化しといて!」



「え?千秋!?」



「あとでちゃんと説明するから…っ」





そう言って、飛鳥に手を合わせてあたしは木村くんの後を駆け足でついていった。