……この音…。
だんだん近づいてくる軽やかな音色。
「……雄飛、何をしているの」
同時に聞こえてきた鈴の音のような声と同時に現れた、綺麗な着物を纏った少女。
「猫鈴(みょうり)、お前こそどこ行ってたんだよ…」
「…なによ。
少しくらい散策してたっていいでしょ」
「……時間、間に合わねぇぞ…」
………なんか、…恋人同士みたい。
そんなことをぼんやり考えていた時、その女の子がくるり、とあたしの方を向いてきた。
「あ、初めまして…ですね?
私は猫鈴といいます」
にっこり、と笑いながら挨拶をして、シャラン、と音を響かせた。
「は、初めまして…っ
あたしは、黒瀬千秋といいます!
で、ええと…こっちが……」
「お初にお目にかかります。
私は、狐燈と申します」
見るからにあたふたしているあたしの言葉を遮り、跪くと丁寧に言葉を紡いだ。