木村くんの指差す方向には確かに狐燈の姿がある。



ちらり、と狐燈と視線を合わせると、少し険しい表情になっていた。






「……あれ…。…違った?」



返事をしないあたしに疑問を持ったのか、木村君は首を傾げる。





「…え…、あの…見えるの?」


「………。あー…なるほど…。
アヤカシ、か…」






―――――…!






「……ってことは、黒瀬も同じ用事ってワケか」


「…え?」


「月見」





そう笑って言った木村くんの表情は、月に照らされてより艶かしい。







すると。






シャラン、カラン、とあの綺麗な鈴の音が再び、聞こえてきた。