木村くんの指差す方向には確かに狐燈の姿がある。
ちらり、と狐燈と視線を合わせると、少し険しい表情になっていた。
「……あれ…。…違った?」
返事をしないあたしに疑問を持ったのか、木村君は首を傾げる。
「…え…、あの…見えるの?」
「………。あー…なるほど…。
アヤカシ、か…」
―――――…!
「……ってことは、黒瀬も同じ用事ってワケか」
「…え?」
「月見」
そう笑って言った木村くんの表情は、月に照らされてより艶かしい。
すると。
シャラン、カラン、とあの綺麗な鈴の音が再び、聞こえてきた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…