それから、時間も経ち……。
空にうっすら月がかかってまもなく、あたし達はあの樹木へ向かった。
でも、会話だけがない。
しん、と静まっている道のりをただ黙って進んでいく。
その時。
「あれ、黒瀬…?」
静かな空間に、よりいっそう響いてきた、聞き覚えのある声。
……え?…まさか。
勢いよく振り返ると、やっぱり、先日転校してきた木村君がそこに立っていた。
「……木村くん…?」
「なにしてんの?こんな時間に」
「え、いや…ちょっとね…」
さすがに、妖怪達とお月見。
なんて、言えない…。
「ふーん…。
てか、お前彼氏いたんだ?」
………はい?