「…って…猫、好きなの?」
ふと木村くんの足下で、もぞもぞ動く物体を発見したあたし。
しゃがみ込み、ちょいちょいと人差し指で手招きすると…
その物体…猫が刷りよってきた。
かわいいー、と猫を撫でる。
「いや、別に…」
なんて、木村くんはあっさり否定しながらも、しゃがみ込んで猫を撫で始めた。
……なんだ、好きなんじゃん…猫…
言葉とは反対の行動に、自然と笑いが込み上げてくる。
「俺、どっちかっつーと犬派」
一応前言撤回しておこう。
なぜその犬派な君の周りに、こんなにも猫が集まってくるのだろうか…。
さすが、カッコいい男は猫にもモテモテってわけか。
…と、そんなことより……
「……あの、さ…ちょっと…時間ある?」
「―――…は?」
返ってきたのは『うん』でもなければ『嫌だ』でもない。
素っ頓狂な返事だった。