朝激走した道を、今度はゆっくり、ノロノロ歩く。
もう夏も終わるというのに暑さはちっとも変わらない。
地面を照りつける太陽は相変わらず容赦ない。
ようやく家に着いた時にはもうヘロヘロだった。
「…ただいまー…」
ハァ…と一息つきながらガチャ、とおんぼろ扉を開ける。
………あれ…。
しん…、と静まりかえった部屋内。
中へ入って気づいた。
いつも返ってくる声が、ない。
え?と思ったあたしは急いで部屋の中へ入る。
…そして、つい、言葉が出なくなった。
―――…ね…寝てる…。
いつ寝てるのかいつ起きているのかもわからない、あの狐燈が…
――……寝てる…っ!
狐燈は軽いくの字になりながら、すーすーと一定の寝息を響かせて、夢の中を浮遊していた。