こうなれば、もういっそヤケだ。
「……み…」
「…み?」
「――…み、雅と!
その…キ、…キスしてたでしょ!?」
…どうしてこんなことになったんだろうか…っ
もちろんあたしの顔はこの上なく真っ赤に染まり、一方、狐燈の表情は唖然。
「……それは、いつでしょうか?」
略せば“は?”というところだろう。
「えー、と……?
雅と会って…狐燈が出ていった日…
…だった、かな…?」
ぼやけた記憶をたどりながら、狐燈に視線を向けると。
狐燈もあたしの方を向き、…首を傾げて止まった。
…しばらく、部屋の中にチクタク、と時計の乾いた音だけが一際大きく響く。
……が、次の瞬間。
この狐は、あたしの前でフッ、と笑いやがったのだ。