―――…ち、近…っ
すぐ近くに迫る澄んだ淡青の双眸には、はっきりあたしが映し出されている。
「どうか、なさいましたか…?」
「……別に…」
……言えない。
言えるわけがない。
この状況もそうだけど…
そんなことを言った日には気が狂ってどうにかなりそうだ。
………てか…。
…なんなんだ。この甘々展開は…
「…千秋さま。
何かあれば、なんなりと仰ってください」
そうでなければ…。
と、一つ間を開けて、続きを口ずさんだ。
「私が在る理由がありません。
ならば、今すぐにでもじ……」
「ストップストップ!!
わかったわかった!! 言うから!」
と、いつものように彼の口車に乗せられてしまったのである。
それを計算していたかのように、彼の口角が少し上がったのが見えた。
………また嵌められた。