―――――。
「………」
そうだ。……忘れてた。
ふと、あることを思い出したあたしは、ちらり、と狐燈に視線を向ける。
「……?」
あたしと目があった狐燈は、キョトン、とした表情を向けてきた。
……そういえば…こいつ…
雅とキ…キキキスしてたんだった…っ
「…千秋さま?」
その声でハッ、としたあたしは狐燈に背を向け、足を屈折させて座る。
…そりゃ、確かにあたしなんかより雅の方が品があるし…
あたしと会う前だって、雅と一緒にいたワケだし…?
……って、あたしは何をっ
もはや、あたしが化け物だ。
「───千秋さま」
暗い気を背負っているかの如くあたしに降ってきたのは、穏やかな声色。
「……え?」
そこでようやく気が付いたあたしは、首だけ振り向かせる。