「……ごめん…。
一番つらかったのは狐燈の方だったのに…」




いつもいつも、あたしだけが被害者面して…



最低なのは、あたしの方なのに…





……本当に謝らなきゃいけないのは、あたしの方だったのに…






「そもそも、気づけなかったあたしが悪いのに……っ
…ごめん……ごめんなさい…っ…」



「千秋さま」




どんどん自分のやるせなさに、独り、言葉を立て続けに出していると。


あたしの名前を呼んだ、その穏やかな声で遮られた。





そして、今まで離れなかったのにゆっくり、と離れていき、あたしと視線を合わせた。



あたしは、それに堪えられるはずもなく、やや顔を下げる。





「なぜ貴方が謝る必要があるのですか」


「……だって……っ!」




いつもの表情で言った狐燈に勢いよく答えようと顔を上げたその時、むぐっ、と口を塞がれた。




しかし、それは一瞬のことで、すぐに離れると…





「…今回…貴方にお伝えしなかったのは
計画のこともありましたが…

私についた鎖を解くためでもあったのです」




たぶん真っ赤であろうあたしに、優しく微笑んで言った。