そして、気づく。
……あたしは…
謝られる側じゃない、ということに…。
「……ち、あき…さま…?」
その狐燈の声でハッ、と我に返った。
「……ご、ごごごごめん!
べ、べ別に意味はなくて…っ」
あわわわ、と急いで離れようとしたところ、逆に、ギュム…とさらに強く抱き締め返された。
「ちょ…、こ…狐燈…っ
はな、はな離して…っ」
「いいえ。」
…即答すんなっ
「…もう、ほんとに…っ
…はーなーしーてーっ!」
もちろんぎゅうぎゅう、と押してもびくともしない。
しかも、そんなあたしの反応を見て笑ってる始末。この狐は…。
なにか言い返そうと考えていると。
「……好きです。大好きです…っ」
……なんて言うから、もう何も言えない。
あたしが今見えるのは、彼の髪と部屋の一部なので、表情は見えない。
しかし確かに、今度は笑っていた…。
…は、恥ずかしすぎる…っ
「…わ、わかったから…
と、ととりあえず離れてくれるかな…?」
「………」
────…今度は無視かいっ
ここまでくると、もうどうでもいい。
諦めてハァ、と息を一つ吐いた。