学校へ行っても、夏休みももう近いこともあり、授業は午前で終了。
そして今日は飛鳥が部活のため遊ぶのはパス、ということに。
「じゃあ、また明日ね」
「うん、また明日!」
お互い手を振りあった後、一足先にあたしは帰路へとつく。
しかし、なにやら校門辺りがすごく騒がしい…
なんかあったっけ…?
と思いつつ、校門へ駆け寄る。
人だかりを抜け、その姿を見た途端、唖然とした。
なぜ、彼がここにいる…?
「……、千秋さま、
おかえりなさいませ」
あたしに気づいたその人はいつもの調子で、キラキラした笑顔で頭を下げる。
「え、誰ー?」
「知り合いですかー?」
周りにいた生徒達が、あたしを見ながら口々に言う。
「…なにしてるの?」
「千秋さまを待っていたんです」
…答えになってないから。
しかし、当の本人はまるで悪気のない笑顔をあたしに向ける。
…ああ…、なぜだろう。
…耳と尻尾が見える。
とりあえず、彼とその取り巻きの人たちを無視して、あたしだけ校門を抜けた。
下手に関わって、面倒なことに巻き込まれたくはない。
「では、皆さん。失礼いたします」
その後ろで狐燈が、えー…と渋る生徒達を宥めて、あたしの後をついてきた。