その手にはボールを抱えていて、ふと、視線が合う。
「…目が覚めましたか」
そう微笑みながら、近づき、あたしの隣で正座をした。
「……待って…なんで…?」
「…貴方もご存知のはずです。
私はもともと雅さまの主ではありません……」
……それでも……
まだ思考回路の働かない頭でどうにか考えていると。
「……雅さまは、妖の姿を見ることは出来ませんでした」
ふいに、狐燈が口を開いた。
「……え!? でも、ちゃんと見えて…」
「あれは、この姿でしたので。
貴方とお会いする前から、幾度かソノ姿をお見せしていましたが……」
まったく、見えていませんでした。
と続け、目を伏せた。