どしゃ降りだった雨が、



一瞬にして止んだの。



顔を上げると、私に傘を差したあなたが立っていた。



五十嵐 啓吾。



このどしゃ降りの雨の日に、



あなたは私の元に現れた。



泣き顔を見られたくなくて平然を装ったけれど、



私の涙は、止まることを知らない。



きっとあなたには見透かされていたんだろうね。



私のウソはすぐに見破られてしまうから。



一瞬のうちに出逢って、知らないうちに私は忘れてた。



タケルのことも、親のことも。



独りになると考えてしまうけど、
あなたと居ると、
不思議なくらい解放されてる。



もう一度私を、
普通の女の子に戻してくれた。



再び私の前に現れた時は、びっくりして焦ったけど、きっともう走り出してた。